りなっくま日記

カナダ人のスコットと国際結婚、翻訳家

江國香織の魅力

「やわらかなレタス」

江國さんのファン仲間である友達から借りた新作エッセイ

昔から小説一筋で、エッセイというものを本当に数冊しか読んだことがない

というのも、私が本を読むのは物語や言葉を楽しむためであって、

作者個人の生活や考えにはあまり興味がないから…

でも、それは違った

こんなにも江國狂の私が、彼女の生活に興味湧かないわけがない!

なんでこれまで見過ごしていたんだろうと思うくらい良かった

むしろ、彼女の小説だけを読んでいた私は

にわかファンだったかも…と思ってしまうほど

彼女の生活や考えから小説は作られているのだから、

それを読むのが退屈なはずがない。

当たり前だけど小説よりも現実感があって、どっぷり彼女ワールドにハマってしまった

そして、江國さんの物語が、

彼女自身の個性や体験を元にして作られているんだということがよく分かった

大ファンでいながら、彼女が結婚してもう16年も経っていることすら知らなかったわけだが(笑)、

エッセイの中には小説に出てきた場面ばかり!

やっぱり小説に出てくる主人公は江國さんそのものなんだなぁ~と実感。

ぼんやりしてて、現実感のないとことか^^

昔の作品と、最近の作品の感じが違うのは、

結婚する前とした後だからかなぁと思ったり。

江國さんの大好きな作品の一つ、

「思いわずらうことなく愉しく生きよ」がドラマ化するらしい。

今年の11月からNHKで放送だが、

なんとそのキャストが真木よう子木村多江夏帆が主役三姉妹を演じるほか

ユースケ・サンタマリア徳井義実片岡礼子、高畑淳などなどめちゃ豪華!!!

これは見逃すわけにはいかない…

彼女の人気作品はほとんどが映画化・ドラマ化されていて、

こうやって江國さんが多くの人から認められるのはファンとしてすごく嬉しいことだけど、

彼女の本の良さは映画じゃ全く伝わらない…とも思う

彼女の物語は、大きな波や事件というものはほとんど起こらない

(この点で映画として成り立つのかが疑問)

ただの日常。それも作者自身の。

でもそれがなぜ小説として成り立って、多くの人から愛されているかというと、

私なりの答えは

ありふれた日常の場面、物事一つでも、特別なもののように描ける驚異的な表現力があるからだと思う。

道を歩いていても、果物の形一つでも、

素晴らしくこまやかな表現で彼女の世界を描くことができる

なんてステキな、そして普通の人間離れした才能だろうと思う

エッセイの中で、「私は同時に2つのことができない」

「何をするにも時間がかかる」と言っている

スーパーで見つけた商品のキャッチフレーズを理解するのに何分もかかってしまったり、

毎日お風呂に2時間も入るところとか…

それは彼女の異常なまでの観察力、

ひとつひとつの言葉にも深く考えこんでしまう繊細な感性があるからだろうなぁと思う

普通の人だったら簡単に通り過ぎ、考えもしないことを

じっくり観察して分析して、他の人にはない発想をピッタリな言葉で表現する。

私はとかくありきたりな表現しかできないから、聞いたこともない、

でもしっくりとくる彼女の表現描写に出会う度に心が震えてしまう。

なんでこんな言葉が思いつくのだろう…と。

そしてもう一つの魅力は、余計な文の多さ。

彼女の物語には関係ない、余計なことの表現がやたらと多い。

(余計、というのは失礼なのだが)たぶんほとんどがそうだと思う。

ふと蘇ってきた遠い昔の記憶とか、主人公の妄想とか、

夕食のこまかなメニューとか、そのとき着てた服の素材まで。

一見するとなんでこんなこと書いてあるんだろう?と思うのだが、

その余計なことがどんなに小説を豊かにしているかは計り知れない。

人生だって、余計なことばかりだと思う。

でも、その余計なことに、楽しさのヒントが隠されてる気がしてならない。

帰り道、ちょっと寄り道してみたときに出会う小さな発見とかにそれは似ている。

私の人生も寄り道ばかり。これからも寄り道ばかりして生きていきたいな~。

あぁ、エッセイも残すところあと数ページ。

新作を読むときはいつも、

読み終わってしまうのがもったいないと思う気持ちと

早く読み進めたいと思う高揚感が入り混じる。

幸せな葛藤だ!